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なぜ成果が出る人とそうでない人がいるのか
同じ会社で働いていても、営業成績が抜群にいい人と、なかなか結果が出ない人がいます。マーケティングの世界でも同じことが起こっています。同じ予算を使っても、大きな成果を上げる人と、思うような結果が得られない人に分かれてしまうのです。
この違いは、才能や運だけではありません。実は、成果を出す人には共通する考え方と行動パターンがあるのです。
Aさん(毎月目標達成):
まず「今月10件契約を取りたい」と決めて、そのために「100人に会う必要がある」と逆算。さらに「100人に会うには200人に電話をかける必要がある」と計算し、毎日10人ずつ電話をかけるスケジュールを立てる。
Bさん(なかなか結果が出ない):
「とりあえず頑張ろう」と思って、思いついた時に電話をかける。忙しい日は電話をかけられず、月末になって「今月も足りない」と気づく。
この例からわかるのは、成果を出すAさんは「結果から逆算して行動を決めている」ということです。一方で、結果が出ないBさんは場当たり的に行動しています。
マーケティングでも同じことが言えます。成果を出す人は、まず「どんな結果を得たいか」を明確にして、そこから「何をすべきか」を逆算して考えているのです。
トップ営業マンの共通する3つの行動パターン
多くの業界でトップクラスの成績を収める営業パーソンを調べてみると、3つの共通する行動パターンが見えてきます。
パターン1:数字から逆算して行動計画を立てる
トップ営業マンは、必ず数字を使って考えます。「今月1000万円売りたい」という目標があれば、「平均単価50万円の商品なら20件必要」「20件契約するには200件訪問が必要」「200件訪問するには平日20日間で1日10件回る必要がある」という具合に、細かく分解して計画を立てます。
パターン2:お客様の立場で考える
成果を出す営業パーソンは、常に「お客様が何を求めているか」を考えています。自分が売りたい商品を押し付けるのではなく、お客様の問題や悩みを解決できる提案をしているのです。
お客様が「駅から近い物件がほしい」と言った時、Cさんは単に駅近物件を紹介するだけでなく、「なぜ駅から近い物件を求めているのか」を聞きます。「通勤時間を短くしたい」という理由なら、駅から少し離れていても快速が止まる駅の物件を提案し、浮いたお金で他の設備を充実させる提案をします。
パターン3:継続的な関係づくりを重視する
一回きりの取引で終わらせるのではなく、長期的な関係を築くことを大切にしています。お客様に満足してもらい、リピートや紹介につなげることで、効率的に成果を上げているのです。
行動パターンをマーケティングに応用する方法
営業のトップパフォーマーの行動パターンは、マーケティング戦略にそのまま応用できます。それぞれのパターンをマーケティングに置き換えてみましょう。
数字からの逆算をマーケティングに応用
マーケティングでも、最終的な売上目標から逆算して、必要な施策を計算することができます。
逆算の流れ:
1. 目標売上:1000万円
2. 平均購入単価:5000円
3. 必要な購入者数:2000人
4. サイト購入率(コンバージョン率):2%
5. 必要なサイト訪問者数:10万人
6. 必要な広告予算:訪問者獲得単価100円×10万人=1000万円
この計算により、「月間1000万円の売上を達成するには、1000万円の広告予算が必要」ということがわかります。
このように数字で逆算することで、「なんとなく広告を出す」のではなく、「具体的にどのくらいの予算をかけて、どのくらいの成果を狙うか」が明確になります。
顧客視点をマーケティングに応用
お客様の立場で考えるということは、マーケティングでは「顧客の課題や悩みを解決する」ことに焦点を当てることです。
企業側の考え:「高品質な家事代行サービスを提供している」
顧客側の本当の悩み:「仕事が忙しくて家族との時間が取れない」
顧客視点でのメッセージ:
「高品質な掃除」ではなく「家族との大切な時間を作るお手伝い」という訴求に変更。結果、申込み率が3倍に向上。
長期的関係構築をマーケティングに応用
一回の購入で終わりではなく、継続的にお客様との関係を深めていくことで、安定した売上を作ることができます。
これは「カスタマーライフタイムバリュー(顧客生涯価値)」という考え方で、お客様が企業との関係の中で、生涯にわたってどのくらいの価値をもたらしてくれるかを重視する手法です。
実際の成功事例から学ぶ逆算思考
理論だけでなく、実際に逆算思考で成功した企業の事例を見てみましょう。
事例1:スターバックスの店舗展開戦略
スターバックスは日本進出時、「コーヒー文化を根付かせる」という大きな目標から逆算して戦略を立てました。
最終目標:日本にコーヒー文化を根付かせる
逆算1:そのためには、コーヒーを飲むことが「おしゃれ」で「特別な体験」だと思ってもらう必要がある
逆算2:特別感を演出するために、立地は一等地に限定し、店内の雰囲気にこだわる
逆算3:最初は採算が取れなくても、ブランドイメージを優先する
結果:高価格でも「スターバックスで飲むコーヒーは特別」というイメージが定着し、現在では日本全国に1500店舗以上を展開する成功を収めました。
事例2:ユニクロのヒートテック開発
ユニクロのヒートテックも、逆算思考で生まれた商品です。
最終目標:冬の定番商品を作り、毎年安定した売上を確保したい
逆算1:冬に誰もが必要とする商品でなければならない
逆算2:インナーウェアなら、だれでも毎日使う
逆算3:普通のインナーウェアとの違いを作る必要がある
逆算4:「薄いのに暖かい」という機能で差別化を図る
結果:ヒートテックは年間1億枚以上売れる大ヒット商品となり、ユニクロの冬の売上を支える柱となっています。
事例3:地方の小さなケーキ店の成功
大企業だけでなく、小さな店舗でも逆算思考で成功している例があります。
状況:人口3万人の地方都市にある小さなケーキ店
最終目標:月商300万円を達成したい
逆算1:地元だけでは限界があるので、遠方からもお客様を呼ぶ必要がある
逆算2:遠方から来てもらうには、「ここでしか買えない特別なケーキ」が必要
逆算3:地元の特産品を使った、オリジナルケーキを開発
逆算4:SNSで話題になるような、見た目も美しいケーキにする
結果:地元の桃を使った「桃のドームケーキ」が話題となり、県外からも多くのお客様が来店。目標の月商300万円を達成しました。
今すぐ始められる逆算マーケティングの実践法
逆算思考のマーケティングは、大企業でなくても、今すぐ始めることができます。具体的な手順を説明します。
ステップ1:明確な数値目標を設定する
「売上を増やしたい」ではなく、「3ヶ月後に月商を50万円から80万円に増やしたい」のように、具体的な数字と期限を決めます。
・3ヶ月後に新規顧客を月20人増やす
・6ヶ月後にリピート率を30%から50%に上げる
・1年後にオンライン売上を全体の30%にする
ステップ2:目標を細かく分解する
大きな目標を、実行可能な小さなアクションに分解します。
1. 新規顧客20人増加
2. ホームページ経由で10人、紹介で10人
3. ホームページ訪問者を月1000人増やす(購入率1%として)
4. そのために、ブログを週2回更新し、SNSで毎日発信
5. 紹介を増やすために、既存顧客に紹介特典を提供
ステップ3:顧客の声を集めて検証する
計画を立てたら、実際にお客様の声を聞いて、方向性が正しいかを確認します。
簡単な方法として、既存のお客様に「なぜ当店を選んでくれたのか」「どんなことで困っているか」を聞いてみることから始めましょう。
ステップ4:小さくテストして改善する
いきなり大きな投資をするのではなく、小さな規模でテストを行い、うまくいくことを確認してから拡大します。
広告をテストする場合:
月100万円の広告予算を投入する前に、まず月10万円で1週間テストを行う。効果が確認できたら、徐々に予算を増やしていく。
ステップ5:継続的に数字を確認し調整する
計画を立てたら終わりではありません。定期的に結果を確認し、うまくいかない部分は改善していきます。
週に1回、または月に1回は必ず数字をチェックし、「計画通りに進んでいるか」「修正が必要な部分はないか」を確認する習慣をつけましょう。
まとめ:成果を確実にするための心構え
逆算思考のマーケティングで最も大切なのは、「結果から考える」という習慣です。多くの人は「今できることから始めよう」と考えがちですが、成果を出す人は常に「どんな結果がほしいか」から考え始めます。
また、一度計画を立てたら、それを粘り強く実行することも重要です。マーケティングの効果は、すぐに現れるものではありません。3ヶ月、6ヶ月と継続することで、徐々に成果が見えてくるものなのです。
1. 結果から逆算して計画を立てる
2. 顧客の立場で考える
3. 継続して改善を続ける
AI時代になっても、マーケティングの本質は「人間の心を動かすこと」です。テクノロジーを活用しながらも、お客様の気持ちを理解し、価値のある提案をすることが、長期的な成果につながります。
今回紹介した逆算思考の手法を使って、あなたのビジネスでも確実に成果を出せるマーケティング戦略を作ってみてください。小さな一歩から始めて、継続することで、必ず大きな成果を手にすることができるでしょう。